湘南…と言うとどんなイメージが浮かびますか?
海、サーファー、サザンオールスターズ、TUBE…
大抵の方が、真っ先にこんなイメージを持つかと思いますし 映画やドラマ、歌などでも 湘南となるとこのような風景を盛り込みます。
具体的には、鎌倉市や藤沢市 茅ヶ崎市がメインのようにとらえられますが、実際にはどのエリアを指すのかご存知ですか?
そして、一般的なイメージと実際の風景は?
同じ神奈川でも、横浜で生まれ育った私も湘南といえば 県外や地域外の方が抱くそのイメージとほぼ同じものを思い描いていました。
そんなことから今回は
「そもそも湘南とは?」
「具体的にどのあたりを湘南と呼ぶのか?」
について調べてみました。
『湘南』という土地の由来
かつては明治22年に市制・町村制の施行で 今の相模原市緑区の一部が『湘南村』と名付けられました。
当時の連合戸長の馬場健二氏によって命名されましたが、地域を流れる相模川を中國の湘江(湖南省の大河)になぞらえ、川の南側に位置していたために『湘南』の文字が使われたそうです。
実際に湘南という土地は昔、海沿いではなくてもっと県の中央部に存在していたのですね。
そして、海沿いの地域は その相模国の南の地域、を意味する『相南』の南側にあり、相の文字にさんずいがついて湘南になった…という説もあります。
ちなみに、この後の記事のネタバレ的な話にもなりますが、相模川以西から静岡県堺の湯河原あたりまでの地域は『西湘』と呼ばれます。
『湘南地域』の定義
湘南と言われる地域は、どこからどこまでなのか?
これに関しては今まで はっきりとした定義がなかったようなのです。
神奈川県の進めるプロジェクト『かながわシープロジェクト Feel SHONAN』によると『三浦~湯河原の相模湾沿岸』と記されています。
しかし、これによる地域はあくまでも陸地ではなく海岸沿岸を指していて、県庁の市町村課でも「県では ハッキリとした定義をしていない」とのこと。
『かながわシープロジェクト Feel SHONAN』による湘南
神奈川県は、ヒトコブラクダが横向きになったような形状をしているのですが そのラクダのおなかの内側ラインあたり(相模湾沿岸)が湘南…といったところでしょうか。
この相模湾の沿岸地域にあたるのが東から、三浦市・横須賀市・葉山町・逗子市・鎌倉市・藤沢市・茅ヶ崎市・平塚市・大磯町・二宮町・小田原市・真鶴町・湯河原町 です。
葉山町は『葉山御用邸』があり、天皇皇后陛下や皇室ご一家が静養・浜辺で散策される場面をTVで見ることも多いですよね。
平塚以西の西湘といわれるあたりは、イメージだけで言えば ゴリゴリの湘南といった言葉からは少し離れた雰囲気になるかもしれません。
湯河原は温泉地でもありますし、箱根の山にも近くなりますので。
しかし、大磯町には『湘南発祥の地』と書かれた石碑が立っています。
『何処から何処までか?問題』は、終わらない
しかし、『かながわシープロジェクト Feel SHONAN』で示された地域や 県の見解にしても その定義は曖昧に感じられ、昨今でも議論がされているようです。
特に、単純にそのイメージを受けての地元住民の主張によっても変わるような印象も見受けられます。
鎌倉の住民に「藤沢・鎌倉が湘南」という人がいれば、茅ヶ崎市民は「茅ヶ崎・藤沢こそが湘南」と発言したりもします。
(藤沢は江の島の存在により、ある意味 確定なのでしょう。)
また、ラクダの前足の膝周り的位置に存在する横須賀市は、西は相模湾 東は東京湾に面しているので 同じ市内でもその印象が変わってきます。
実際 曖昧な部分があるために 極端な話、上に示された地域の地元民が
『ここは湘南である』と主張すれば それは否定できないのかもしれません。
湘南海岸とは
地域の名称以外に『湘南海岸』という海辺を示す名称もあります。
こうなると、それが示す湘南とは どのあたりになるのでしょうか?
『湘南海岸』とは 一般的に湘南と呼ばれる地域の中で、鎌倉・藤沢・茅ヶ崎の沿岸、海岸を指します。
サーフスポットもこの沿岸に多く点在していて、海岸に沿った国道134号線は県外からの車などでかなり混むことが多いです。
しかし 江の島を中心に東西で景観や地形が変わるので、ドライブをしていて渋滞しても飽きないと思います。
・江の島付近
観光スポットであり、島の東側は『片瀬東浜』西側は『片瀬西浜』と呼ばれています。
近辺は波が穏やかなので 初心者のサーファーが多く練習をしているイメージなのと、島内には大きなヨットハーバーもあります。
また、夏場にはかなりおしゃれな海の家がたくさん並ぶ場所でもあり、人気があり有名な『江の島水族館』は、西浜にあります。
小田急線の『片瀬江の島』は、江の島に渡る橋の入口のすぐそばなので、徒歩で江の島へ向かい 展望台から海を臨むのもオススメです。
・江の島の東側
江の島より東の鎌倉方面は、海を横に見ながら 少し北に入ると小高い丘のような地形の住宅地になっていて、そのような場所からは水平線が目の前に広がる絶景が楽しめます。
特に江ノ電の『鎌倉高校前』駅とその横の踏切付近は、様々なメディアで映像として使われることが多いですね。
漫画『スラムダンク』が好きな人には、ある意味聖地のようにとらえられるのでは?
江ノ電と単線の線路と踏切、そして海…、サーファーが波待ちをしたり波に乗る場面も見られる 本当に絵になる光景です。(よそ見運転には注意!)
有名なレストラン『珊瑚礁』は、常に車がほぼ満車の状況です。
このレストランから見る海も、絶景なんですよね。
映画『稲村ジェーン』の舞台になった稲村ケ崎も、鎌倉寄りのこの海岸沿いです。
・江の島の西側
江の島以西の海岸は 東側とは風景が変わり、鵠沼あたりからは134号線に沿って松の防砂・防風林が増えてくるために、道路沿いからは海が見えない部分があります。
毎年開催されている『箱根駅伝』の往路3区・復路8区の海沿いにあたる部分といえばイメージがしやすいでしょうか?
鎌倉方面よりも低い陸地が広いので、砂浜も東側に比べて広いです。
このあたりでは、防風林の隙間から海に浮かぶように見える『烏帽子岩』の景色を眺めるのもいいですね。
(サザンビーチあたりは、海への視界が開けています。)
『湘南海岸』は、1つのブランド?
この、湘南海岸といわれるあたりは 砂浜が広めで、夏場は海水浴場で海の家も見られるエリアですね。
対する西の真鶴の海や、東の葉山あたりはごつごつとした岩場も多いので、砂浜のあるこの『湘南海岸』はブランド化されたような名称のようにも感じられますね。
砂浜に多くの観光客や海水浴客を呼び込むためのイメージ戦略なのかな?とも思えてしまいます。
車の湘南ナンバー
神奈川県では、横浜・川崎・相模・湘南の4つの管轄に分かれて車やバイクのナンバーを登録することになりますが、湘南ナンバーは1994年10月に新しく交付され それまでは相模ナンバーの区域となっていました。
平塚市に車検登録事務所ができて 相模ナンバーの飽和にもより、新しく湘南ナンバーが誕生した時には、登録申請に整理券が配布されるほどの大行列ができるほどの人気でした。
憧れのナンバーとして横浜ナンバーと肩を並べるようにもなりましたよね。
湘南ナンバーを付ける地域
湘南ナンバーは、以下の地域の車につけられます。
平塚市・藤沢市・茅ヶ崎市・小田原市・中郡大磯町・二宮町・真鶴町・湯河原町
といった、海沿いの地域のほかに
秦野市・伊勢原市・南足柄市・高座郡寒川町・足柄上郡中井町・大井町・松田町・山北町・開成町・足柄下郡箱根町
と、7市11町と 静岡県や山梨県にもほど近い山間部を含んだ、かなり広い領域になっています。
神奈川県民として、恥を忍んで言いますが
実は、秦野市と伊勢原市は相模ナンバーだと思い込んでいた私…
意外でした。
イメージだけ先行させると、湘南ナンバーを付けた車が 県の西南部の山間や温泉町をガンガン走っているという、意外なイメージになります。
『湘南=海』といったイメージからは、かけ離れた地域にもなりますね。
そして…
何故 鎌倉市や三浦市・逗子市・葉山町・横須賀は湘南ナンバーではないの?
という疑問も湧いてくるわけです。
なぜ鎌倉は横浜ナンバーなのか?
上記の地域は、ラクダの前足・三浦半島に位置する地域でもあるのですが、このあたりは横浜ナンバーを付けています。
単純に横浜ナンバーを交付する『神奈川運輸支局』の管轄だからでしょう。
湘南ナンバーが新しく交付される前からこの地域は すでに横浜ナンバーを付けていたから、というのがその理由です。
かつては相模ナンバーであった ほかの湘南の地域がの登録車が、平塚の登録事務所新設により湘南ナンバーに変わったということなんです。
そんなことから 元々の横浜ナンバーから、湘南ナンバーへと変わる理由がなかったということになります。
実際、住民の中でも
「湘南ナンバーの方がいい」
「横浜ナンバーのままでいい」
などと意見は分かれるのでしょうね。
まとめ
一言で湘南といっても、その言葉の使い方により 地域の管轄により 区切りが変わってくることがわかりました。
海岸線のイメージのみならず、北に入れば山も田畑もある地域です。
有名な鎌倉以外にも、古くからの大小の神社仏閣が多く存在してもます。
昭和30年まで存在した『湘南村』の時代からある『湘南小学校』は、丹沢に近い相模原市にありますし、横浜や東京にも社名に『湘南』を入れる企業もあります。
地元民でもその範囲が正直よくわからなかったり 曖昧になっているのは、そもそも『湘南』というのが地名ではないからであって
イメージアップを図るための、地域のブランド名的な呼称でもあるのだろうなという気もします。
キラキラとした海…という、ブランドイメージの独り歩きというか 地域活性の謳い文句のようにもなっている気もしますが、想像以上にたくさんの風景を見せてくれる、地元湘南。
観光でいらした方々には、海だけではない湘南の魅力を見つけてもらえたらいいな…と思います。