梅雨が明けた7月の海岸は、海開きや海の家のオープンと 観光客や海水浴客でにぎわい始めます。
特に2022年は、3年ぶりの海の家開設と 猛暑の影響で海開き早々に人出も多く見られている様子です。
そんな 猛暑の影響か、かつては8月のお盆のころに現れる海中生物が 7月の早い時期に異例の早さで出現しているようです。
普段から、釣り人やサーファー ダイバーなど海に関わる人たちは、様々な種類の生物に遭遇することもあり、特に危険生物についての知識を持ち 活動していますが、一般の海水浴客も遭遇しやすく 危険な海中生物ベスト10にも名前を連ねているのが『カツオノエボシ』。
先日、湘南の海岸でも大量発生・漂着をしているというニュースが報道されたのを ご覧になった方も多いのではないでしょうか?
神奈川県のHPでも、早々に注意喚起をしていました。
では、そのカツオノエボシはどんな生物?
どんな危険があり、見かけたらどうしたらいい?
予め知っておくことで、危険が回避できます。
海水浴に行く前に、レジャーで海岸に出かける前に、カツオノエボシのことを知っておいていただきたいです。
カツオノエボシとは
カツオノエボシは電気クラゲとも言われ、触手に猛毒を持つクラゲの仲間です。
(実際には、一般的に認識されている ミズクラゲ・エチゼンクラゲとは違う属です。)
クラゲといえば、半透明の傘のような形のふわふわとした体で 波に漂う姿を思い浮かべますが、カツオノエボシはかなり小さく きれいな青色が印象的な生物です。
この、半透明の小さなビニール袋のような青は ついつい触ってみたくもなりますが 絶対に触らないでくださいね!
どんな生き物?
青い三角の浮袋を持ち、この形が『烏帽子』に似ているということと、カツオと同時期に沖合に現れることから この名前が付きました。
2022年は梅雨明け前後に強めの南風が吹いたことから、その波に乗り海岸に打ち寄せられたようですね。
大きさは約10cmほどで中に詰まっている二酸化炭素で浮かぶことができていますが、風を受けて移動していて、カツオノエボシ自身は遊泳能力はないのだとか。
浮き袋から触手が長く伸びて、何らかの刺激を受けると表面の刺細胞か胞が発射されます。
この刺胞には毒が含まれていて、外敵から身を守ったり 獲物の小魚や甲殻類を殺して食べるそうです。
蠢くカツオノエボシ
刺された際の痛みは火傷に似ていました。#カツオノエボシ pic.twitter.com/FqRPwHT3zV
— クラゲ脊髄 (@o08uJk86eiWl7bU) June 30, 2022
どこにいる?
日本では、本州の太平洋沿岸で見られることが多いです。
太平洋・大西洋・インド洋に分布していて、黒潮に乗って海岸近くまで浮遊してきます。
同じ瀬戸内海。心配だ😨
触らないで!砂浜の透明ギョーザ、正体は猛毒カツオノエボシ クラゲの仲間、死亡例も 須磨海岸(神戸新聞NEXT) https://t.co/0mbS9clCXV#瀬戸内海 #毒 #さわるな危険 #カツオノエボシ #海と日本 #日本財団
— 海と日本プロジェクトinかがわ (@umi_kagawa) June 30, 2022
太平洋のみならず 瀬戸内海での報告もありますから、潮の流れや風で浮遊したカツオノエボシは、どこの海岸でもその姿を現す可能性はあるということですね。
カツオノエボシを見かけたら
小さくて青い姿は海中では見えにくいであろうと思われますが、海岸に打ち上げられているときには 海中にも浮遊している可能性が大きいです。
時に浮袋をしぼませて、海中に一時的に沈むこともあるようなので その姿は さらに見えにくくなりますよね。
特に 南風が吹き込むときには、海岸では看板などで注意喚起をしていますから、とにかく触れることがないように注意してください。
打ち上げられた時には触手が見えにくいですし、乾燥した個体であっても刺胞が発射されることがあります。(毒は残っています。)
子供はその形や色に興味を持って ついつい触ってしまいがちですから、保護者や周りの大人がその動向に注意をしてあげてください。
また、ライフガードが近くにいるようなら 打ちあがった個体回収のお願いをしてもいかもしれませんね。
万が一、刺されたときには
海中ではその姿を発見しにくいこともあり、どんなに気を付けていたようでも 遊泳中に刺される可能性は0ではありません。
鞭でびしっと叩かれたような鋭い痛みを感じて、赤くミミズ腫れになりました。
刺されるとどうなる?
カツオノエボシの触手に触れると、その刺激で刺胞(微小な毒針)が発射され その毒の寄って様々な症状を引き起こします。
【カツオノエボシに刺されたことによる症状】
・痺れるような激痛
・くしゃみや咳が出ることもある
・痛みや腫れは数日続く
・酷い場合は心拍数上昇・呼吸困難
・2度目以降はアナフィラキシーショックが起こることもある
カツオノエボシの毒は猛毒と言われていますので、体の小さい子供は 特に重症にもなりかねません。
また、海中で指された場合は 刺された衝撃でパニックを起こし 溺れることもあります。
そんな時は、まず落ち着いて岸に戻ることを考えましょう。
まずするべきこと
ライフガードがいたら声をかけてください。
最近では救急搬送で病院へ運び、処置をすることも増えています。
自身で応急処置をしなくてはならないようなら、海水で洗い流して 手を保護できる状態で触手を取り除き、患部を冷やしましょう。
この時、素手で触手を取り除くのは絶対に避けて、タオルや近くにあるプラスチック片などを使ってください。
抗ヒスタミンやステロイド薬の軟膏があれば 塗布すると落ち着くようですが、応急処置後は 医師の診察を受けましょう。
絶対にやってはいけないこと
クラゲに刺された時には 酢で洗うといいといった話もありますが、カツオノエボシには効かず かえって逆効果になります。
気を付けてくださいね!
他にやってはいけないことは…
【これ、やったらダメ】
・真水で洗う → 浸透圧で毒が流れ込みやすくなる。
・砂をかけてこする → 毒針がさらに深く刺さってしまう。
・患部を温める → 炎症が進んで刺胞が活性化してしまいます。
刺されて慌てると パニックにもなりがちで、ついつい やってはいけないことをしてしまいがちです。
落ち着いて対処しましょう!
自身の身を守るために
海岸に打ち寄せられ、海中にも漂うカツオノエボシ。
触らないというのは鉄則ですが、せっかく海に来たのなら ナーバスにならずに海水浴を楽しみたいという気持ちも よくわかります。
しかし 予め、自身の身を守る準備もしてくださいね。
【カツオノエボシに刺されないようにするには】
・マリンシューズやビーチサンダルを履いて、素足で踏まないようにする。
・なるべく長袖のラッシュガードを着る。
・クラゲ除けのサンプロテクターを塗っておく。
ラッシュガードは日焼けを避けることもできますし、日焼け止めとクラゲ除けができるサンプロテクターも発売されています。
有名なのは『SAFE SEA』という日焼け止めローションですね。
カツオノエボシと似た毒を持つイソギンチャクの周りを泳いでも 刺されることのない魚『クマノミ』の粘膜成分を使って開発され、数種類のクラゲでの検証の結果 99%の効果があるとのデータがあるそうです。
夏場は、これを使うサーファーも多いですよ。
まとめ
夏本番を迎えて、さあ 海のレジャーを!という時に大きく報道された『カツオノエボシ大量発生』ですが、その危険生物の生態とと対処法を知っておくことで さされるという危険は回避できると思います。
また、カツオノエボシだけでなく 海での事故もないように、夏の湘南海岸で楽しんでもらいたいものです。
今年の夏の海が、楽しい思い出となりますように…