最近、TVでの心霊特集の番組を見ることは少なくなりました。
現在、フジテレビで放映されている『奇跡体験!アンビリーバボー』では、心霊というより、不可思議な話題や超常現象が多いですよね。
私が小学生だった昭和の時代には、夏休みになると恒例の納涼の行事ように お昼のTVで心霊特集が放映されていて、興味半分 怖いもの見たさ半分で見ていたものです。
昼間にそんな番組を見たのはいいけれど、いざ夜になって放送を思い出し 怖くてトイレに行かれなくなった…
そんな子供時代の経験と記憶を持つ方も多いはずです。
そこで、昭和の時代の心霊番組といえばこれ！のテレビ番組『あなたの知らない世界』を懐かしく振り返ると共に、なぜそのような番組が廃れて行ってしまうのかを考えてみました。
あなたの知らない世界とは
『怪奇特集!!あなたの知らない世界』は、日本テレビの番組『お昼のワイドショー』の中で、1973年から夏のお盆シーズンの水曜日に放映されていた心霊特集番組です。
1979年7月からは その人気の高まりとともに毎週木曜日の放映となり、夏休みなどの長期休みには ２週間ほどの間は毎日放映していたコーナーで、1997年まで 長年に渡って放送され、視聴者に愛された長寿番組でした。
視聴者からの投稿による心霊体験を、ドラマ仕立てで再現。
昼間の番組でもあったことから、小中学生の視聴もかなり多かったのではないでしょうか。
私もまったく霊感はありませんが、まさに怖いもの見たさというか 興味津々で見ていました。
視聴者の投稿を受けて 取材などを交えて検証し、霊能力に強い関係者や コメンテーターとして新倉イワオ氏らが解説していましたが、再現ビデオもあの頃の小学生には妙に生々しくて 番組冒頭の「あなたの知らない世界…」のナレーションですでに恐怖のどん底に叩き落されたという声もあります。
新倉イワオとは
この番組を語るにあたり、新倉イワオ氏を忘れてはいけませんね。
新倉さんは心霊研究家として番組に参加・解説をしていたのですが放送作家でもあり、お笑い人気番組の『笑点』にも携わっていました。
心霊解説をする際の新倉さんの語りが淡々としていて、その静かな口調に 恐怖心がさらに煽られていたような気がします。
その後1980年代に訪れた心霊ブームでも、冝保愛子さんをメジャーにした経歴を持つという多彩な方です。
書籍でも『あなたの知らない世界』に関する心霊本を何冊も出版されています。
最恐と言われたストーリーは？
あれだけ怖がりながらよく見ていた番組なのに『これ！』といったストーリーは思い出せないのですが、当時話題となった 髪が伸びる日本人形の『お菊人形』や 掛け軸に描かれた生首の目が開いた…というのも この番組から発信されたのでは？という記憶があります。
色々と情報を探していると『あなたの知らない世界 きみえ』というワードが出てきたのですが、調べてみても この『きみえ』が出てくるストーリーに関しての記事はないんですよね…
ただ、芸人の山里良太さんが この『きみえ』ついて フジテレビの番組で振り返り語っていたことがあるようです。
『怪奇特集!!あなたの知らない世界』も当時お兄さんに見せられていたものの一つ。今でも覚えているエピソードがあるそうです。
山ちゃん「『キミエ～』と言って、ずっと追いかけて来るのがすごく怖くて。にいちゃんが面白がってトイレの中から『キミエ～』って言うから、怖くて夜はトイレにいけなくなったり。だから初めて外で脱糞したんです」【2018年９月４日放送 フジテレビ『Muscat』https://www.fujitv.co.jp/muscat/20180603.htmlより引用】
追いかけてきたのが『きみえ』なのか？
霊に「きみえ」と呼ばれながら 逃げていたのがきみえなのか？
このあたり、どなたか記憶はありませんか？
いずれにせよ、トラウマ並に忘れられずにいる『きみえ』は、山里さんにとっては最恐のストーリーだったのでしょう。
長い年月の中で たくさんの心霊投稿があったので、人によってその人なりの最恐ストーリーがあったかもしれませんね。
こちらの動画では、番組冒頭から子供たちを恐怖へといざなった「あなたの知らない世界…」のナレーションから始まっています。
そういえば幼いながらも『黄泉の国』という言葉を知ったのもこの番組だったな…と思い出しました。
番組が廃れていったのは…
『あなたの知らない世界』の放映されていた1970年代から 心霊ブームが起こり、新倉さんが見出した冝保愛子さんや織田無道さんが出演する番組もよく見かけられるようになりました。
冝保愛子さんの霊視や、織田無道さんの除霊も 人気が高かったと記憶しています。
番組収録時に スタジオに来ていた一般の観覧者の女性を自身の近く呼び寄せて、その女性に憑いていたという霊を緊急除霊したものです。
除霊後に織田無道さんは
『今、ここで除霊をしなかったら あなたは○○年○月○日に命を落とすことになっていました。』
と、女性に一言！
それが、とんでもなく怖かったのを今も覚えています。
そのような心霊ブームは昭和から平成の始め頃まで続いていたと思うのですが、徐々にテレビでの放映が少なくなっていったのには、いくつかの理由があると思います。
霊能者のやらせ疑惑
織田無道さんと宜保愛子さんについては、やらせが週刊誌から浮上したことがあります。
織田無道さんに関しては、後年にご本人自ら「もともと霊能者ではなく、除霊はできない。」と白状していましたね。
「1980年代にお昼の番組に出たとき、お墓の撤去についての議論をしているうちに、呼んでもいない霊がカメラに映ってしまったんですよ。
司会の宮尾すすむさんが“悪い霊が来てしまったらどうすればいいの？”と聞いてきたのですが、私の宗派にお祓いはないから、“それは気合です”とアニマル浜口さんみたいなことを口走ってしまった（笑）。
その場で霊との闘いが始まって、それが全国に放送され、住職ではなくて“除霊をする人間”になってしまった。
それから、“ここを除霊してくれ”という依頼がたくさん来たんですよ。私はまだ30代で若かったし、頼まれたら断れない性分だった」
【引用 週刊女性PRIME https://www.jprime.jp/articles/-/18090 より】
冝保愛子さんに関しては その霊能力が高く評価された方ですが、科学的視点から霊現象を否定する大槻義彦教授が現れ、喧々諤々とバトルが繰り広げられることにもなりました。
そのようなことから、霊現象や超常現象は『胡散臭いもの』としての見解も起きてしまったのでしょうか？
平成に入って間もなく、２人の姿をテレビで見ることは少なくなっていったようです。
日本を震撼させた事件によって…
また、もう１つ 心霊番組がテレビから急激に消えて行った理由の１つとして オウム真理教の事件が挙げられるようです。
1995年に起きたこの事件により、この教団がオカルトに傾倒し オカルト雑誌にセミナー広告を掲載していたことから、テレビ局が自粛をすることにもなったとか。
霊感商法や、マルチなどが問題になったのもこの頃でしょうか。
犯罪や 弱者を取り込もうとするトラブルも、心霊ブームの終焉に影響したと言えるでしょう。
『作り物』も容易にできてしまう
心霊番組では、投稿による再現ビデオやその解説だけではなく心霊写真のコーナーも人気でした。
しかし、時代の流れでデジカメや 携帯電話での写真・動画の撮影が広がり、素人であってもその加工が容易にできるようになっています。
そんなあたりが 心霊・超常現象に対しての信憑性を欠いてきていて
「本物？偽物？」という議論が先に出てきて、まずは疑う…という見方にもなってしまっているのでしょう。
現代の心霊番組事情
最近放送される心霊番組で 昭和の時代に近い心霊番組といえば、テレビ東京の特番の『日本で一番コワい夜』あたりな気がしています。
心霊番組の方は1990年代以降も続きましたが、未確認生物(UMA)や UFOといったものにも焦点を当てるようになり、スピリチュアルブームからテレビ朝日での『オーラの泉』のような番組も登場しています。
『オーラの泉』では、スピリチュアリストとして 江原啓之さんと美輪明宏さんが解説をしていましたが、やはり江原さんにも霊視疑惑が浮上し番組が終了していますね。
今は、DVDやYouTubeでも過去の心霊番組を視聴することができていますし、視聴者が選べるような状況にもなっているために、テレビにおいての『心霊特集』というものは求められなくなっているのかもしれません。
まとめ
私自身、子供の頃に『あなたの知らない世界』を見ていたことからか 心霊に関しては興味があり、昨今もYouTubeでは橋本京明さんや立原美幸さんの出ているチャンネルは好きでよく見ています。
このようなチャンネルで展開されている事象も、信じる・信じないは人それぞれであり 昭和も令和も同じなのでしょう。
でも、夏に近づくと 昔テレビで放映されていたような心霊番組をまた見たいといった気持ちも出てきますし、信じる・信じないではなく 単にその背筋がひやっとした感覚が懐かしくも感じてきます。
さすがに、子供の頃のように 怖くて夜にトイレに行かれなくなるということはなくなっていますが、今年の夏は ネットで昭和の怪談話を懐かしく楽しみながら納涼をしてみようかな…
そんな風にも思った、『あなたの知らない世界』の回顧でした。
